こんにちは、レムシステム株式会社でエンジニアとして働いている小村(@system_kom)です。今回は、USB HDDの安全な自動マウント方法についてご紹介します。多くの方がディスクを起動時にマウントする際に/etc/fstabを編集していますが、実はこの運用にはリスクがあります。ディスクに問題が発生したままシステムを再起動すると、OSが起動中に停止してしまう可能性があるのです。そこで、より安全にディスクをマウントするためのパッケージ、autofsサービスの導入方法を紹介します。
autofsは、必要なときだけファイルシステムを自動的にマウントするLinuxのサービスです。これを使えば、OSの起動時ではなく、実際にUSB HDDにアクセスが必要になった時点でマウントできるのでディスクに障害が発生した場合でもシステムに影響がありません。
autofsを導入する環境
私たちレムシステムでよく使用しているLinuxディストリビューションであるAlmaLinuxの環境を元に、以下の条件で説明していきます。
- LInuxディストリビューションはAlmaLinux 9系(Red Hat系のLinuxディストリビューション。利用したのは9.3)
- マウントポイントとして/backup(/ディレクトリ直下に作成)
- マウントするUSB HDDはext4でフォーマット済み。/dev/sdb1として認識されている。
1. autofsをインストール
最初に、システムにログインしてautofsパッケージをインストールしましょう。ターミナルを開いて、以下のコマンドを入力します。
command
$ sudo dnf -y install autofs
2. USB HDDのUUIDを確認
次に、マウントしたいUSB HDDのUUIDを確認します。これはUSB HDDの個体識別番号のようなものです。
command
$ sudo blkid
blkidコマンドを実行すると、以下のようにUUIDが表示されます。
command
/dev/sdb1: UUID="e300e594-8c37-482d-bb8f-2c4be0bb105a" TYPE="ext4" PARTUUID="37e11ec1-b7cf-47bc-825c-61ff7db9c868"
ここで表示されたUUIDをメモしておいてください。autofsの設定時に利用します。
3. 自動マウントの設定
パッケージのインストールとディスクのUUIDが確認できたら、autofsの設定ファイルを編集します。以下のコマンドで設定ファイルを開きます。
command
$ sudo vi /etc/auto.master
設定ファイルが開いたら、以下の行を追加または編集します。
command
/- /etc/auto.misc
4. USB HDDの詳細情報を記入
次は、マウントするディスクの具体的な情報を記載します。以下のコマンドで別のファイルを開きます。
command
$ sudo vi /etc/auto.misc
開いたファイルに、以下の行を追加してください。
command
/backup -fstype=ext4,rw :/dev/disk/by-uuid/e300e594-8c37-482d-bb8f-2c4be0bb105a
※ここで指定するUUIDは、手順2で確認したものに置き換えてください。
5. autofsサービスを起動して自動起動を設定
最後に、autofsサービスを起動し、システム起動時に自動的に開始されるよう設定します。
command
$ sudo systemctl enable --now autofs
6.自動マウントの動作確認
設定が完了したら、実際にマウントポイントにアクセスして動作を確認します。以下のコマンドを順番に実行してみてください。
command
$ cd /backup
$ ls
これらのコマンドを実行すると、自動的にUSB HDDがマウントされ、内容が表示されるはずです。うまくいきましたか?
まとめ
いかがでしたでしょうか。autofsを使うことで、USB HDDを安全かつ効率的にマウントできることがお分かりいただけたと思います。OSの起動問題を回避しつつ、必要な時だけディスクにアクセスできる。これぞ、セキュリティと利便性の両立ですね。
私たちレムシステム株式会社では、このようなLinuxシステムの運用効率化やセキュリティ向上に関する相談を常時承っています。ご質問やご不明点がありましたら、お気軽にコメントしてください。